抄録
栄養に応答した細胞の増殖と成長の制御に重要な制御因子としてTORは真核生物に広く保存されている。TORは、植物の成長においても重要であることが示されている一方で、動物や酵母で知られているTOR相互作用因子の中には植物には存在しないものがあることから、TORがどのようにして植物の成長を制御しているのかというメカニズムはわかっていない。私達は、シロイヌナズナにおいてAtTORと相互作用する新規因子を同定することで、植物が栄養に応答して細胞の増殖と成長を制御する機構の一端を明らかにしたいと考えて研究を進めている。シロイヌナズナのプロトプラストを核画分と細胞質画分に分離後、ウェスタンブロットによりAtTORの標的の一つとして知られている2つのS6キナーゼの局在を調べたところ、現在までの報告とは異なり、共に細胞質画分に存在した。この2つのS6キナーゼは植物の発達段階での発現パターンも異なる。これらのことは、AtTORが植物の発達段階などに応じて異なる構成因子からなる複合体を形成して機能していることを示唆する。現在、AtTOR特異的な抗体や過剰発現体を利用した免疫沈降とともに、ハイスループットスクリーニング系として、プロトプラストで一過的に過剰発現したタンパク質に付加したタグを利用した免疫沈降によって、AtTOR複合体の構成因子の同定を試みており、これらもあわせて報告したい。