日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Cyanidioschyzon merolaeにおけるオルガネラ局在型DNAポリメラーゼの解析
*森山 崇寺沢 公宏藤原 誠佐藤 直樹
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p. 0698

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抄録
植物や藻類のオルガネラゲノムの複製は、大腸菌のDNAポリメラーゼI(Pol I)とある程度の相同性を持つ酵素が行っていると考えられており、イネ、シロイヌナズナ、およびタバコにおいて、色素体とミトコンドリアへの両局在、組換えタンパク質を用いた活性測定、細胞分裂が活発におこっている細胞で高い発現を示すことなどが報告されている。C. merolae(シゾン)の核ゲノムには、このような酵素のホモログをコードする遺伝子(PolB)と、Pol Iに対してさらに高い相同性を持つ酵素をコードする遺伝子が存在する(PolA)。以前報告したように、PolAは色素体、PolBは色素体とミトコンドリアの両方に局在し、および同調培養における発現量の変化の解析から、PolBがオルガネラゲノムの複製酵素であると考えられる。シゾンの細胞からPolBを精製し、酵素的性質について組換えPolBと比較した。比活性は組換えPolBの20倍以上高く、失活温度は60℃で組換えPolBよりも10℃高かった。ddTTPによる阻害は同程度であったが、ホスホノ酢酸に対してはシゾンから精製したPolBの方が感受性が高かった。植物からはこれまでネイティブなサイズの酵素は精製されておらず、活発に分裂している細胞を大量に得ることのできるシゾンを用いたことで初めて精製することができた。今後はこのシゾンから精製したPolBを用い、より詳細な解析を行う予定である。
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© 2008 日本植物生理学会
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