抄録
本研究は、葉緑体やミトコンドリアの細胞核支配の構築タンパク質分子の輸送経路、 構造への組込み、 機能の発現が細胞とオルガネラのどこで、 どのように行われているか、について分子細胞形態学および生化学的手法により解明しようとする。われわれは免疫電顕法により、光化学系II集光性クロロフィルa/b結合タンパク質複合体分子(LHCPII)が、 ゴルジ体を経由し、葉緑体へ輸送される現象を最初に見いだした(1990)。すなわち、 分泌タンパク質以外の光合成タンパク質分子が、ゴルジ体を経由し葉緑体へ輸送される、全く新しい現象である。この現象はSchwartzbachにより生化学的手法により再確認された。その後 Morse (2003)らは渦鞭毛藻類、Villarejoら(2005), Radhamonyら(2006)は高等植物でも、同現象がみられることを報告している。すなわち、このような現象は葉緑体を有する単細胞藻類から、高等植物に至るまで報告されている。光合成能を有する植物では、核支配タンパク質の葉緑体への輸送は、動物や真菌と比較し従来考えられていたものとは異なり、より複雑な輸送経路を有すると思われる。今回、われわれがみいだした現象を踏まえ、 免疫電顕法によりゴルジ小胞体から葉緑体への輸送について報告する。