日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ微小管重合核は間期表層微小管構築に寄与する
*中村 匡良橋本 隆
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p. 0719

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抄録

植物細胞には動物細胞の中心体のような決まった微小管形成中心は存在しないが、微小管を形成し特徴的な微小管構造体を構築する。植物細胞にも動物細胞の微小管重合核に存在している分子は確認されているが、その構造や機能の知見は乏しい。我々は植物微小管重合核の機能や役割を明らかにするため、構成成分と考えられるシロイヌナズナ AtGCP2の機能解析を行った。局在解析からAtGCP2は重合核の成分であるγチューブリンとともに微小管に沿って局在することが見出された。一方、ノックアウト変異株の詳細な解析から、 AtGCP2は雌雄配偶子の形成や発達に重要であり、生存に必須の因子であることが示唆された。AtGCP2のアミノ酸置換変異株spiral3 (spr3)は、根の伸長領域における表層微小管束がやや左肩上がりに配向し、表皮細胞が右巻きにねじれ、根が右方向に向かって伸長する形質を示した。spr3変異型AtGCP2は重合核の他の成分と考えられるAtGCP3との相互作用が弱くなっていた。また、植物の表層微小管は、既存の微小管からほぼ一定の角度で分岐するように微小管を形成することが知られているが、spr3変異株では、この表層微小管形成角度に野生型との差が見られた。さらに、表層微小管マイナス端の動態の変化も観察された。これらの結果から、AtGCP2を含む植物微小管重合核は微小管形成や動態の制御を介して形態形成に重要な微小管束の配向に寄与していることが示唆された。

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© 2008 日本植物生理学会
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