日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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酢酸菌における細胞壁のセルロースリボン形成への影響
*中井 朋則肥田 睦子榊原 斉大岩 和弘峰雪 芳宣
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p. 0720

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抄録
酢酸菌(Gluconacetobacter xylinum)は菌体外へセルロースを合成するグラム陰性細菌である。本研究では、酢酸菌の細胞壁がセルロース合成にどのように関与しているかをネガティブ染色法を用いて調べた。野生株BPR2001株を1週間30℃においてフルクトースを含む培地で静置培養し、培地表面にセルロースペリクルを形成させた。このペリクルを含む培地を激しく撹拌することにより菌体を脱離させ、遠心分離により菌体を回収した。菌体を培地で適当な濃度に懸濁した後、電子顕微鏡用の銅製のメッシュ上で30℃、1時間培養し、1.5%酢酸ウラニルでネガティブ染色を行い、透過型電子顕微鏡で観察した。その結果、セルロースが菌体から分泌され、さらに細胞壁側から収束してリボンが形成されていく各段階の菌体が観察された。次にBPR2001株をメッシュ上で培養する際、培地中にリゾチームを2mg/ml加え、細胞壁を破壊し、先ほどと同様に染色し電子顕微鏡で観察した。その結果、ある程度合成されたセルロースはリボンとして収束していたが、その幅は野生株に比べ太く、またほつれがみられるものも観察された。このことから、細胞膜上で合成されたセルロースが細胞壁を通過して分泌される際に、リボンの形成が進んでいくと考えられた。
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© 2008 日本植物生理学会
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