日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ホウ素ラムノガラクツロナンII複合体の機能に関する研究:特異的構成糖KDOの欠損株を用いた解析
*小林 優稲見 明奈間藤 徹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0723

詳細
抄録
植物の必須元素ホウ素は細胞壁に局在し、ペクチンのラムノガラクツロナンII(RG-II)領域に特異的に結合している。我々は、このホウ素RG-II複合体の機能を解析する手段としてRG-IIの構造変異株の作出を進めている。特にRG-IIの特異的構成糖である2-ケト-3-デオキシオクトン酸(KDO)に着目し、変異導入の基盤となる知見を得るために植物のKDO生合成経路について検討中である。
CTP:KDOシチジル酸転移酵素(CKS; EC 2.7.7.38)は、KDOをRG-II合成の直接の基質である糖ヌクレオチドCMP-KDOに変換する。シロイヌナズナはCKS遺伝子1コピーを有する(At1g53000; AtCKS)。この遺伝子のT-DNA挿入ラインではホモ接合体は得られなかった。この原因は変異型花粉が稔性を持たないためであった。ヘテロ株の成熟花粉の形態に異常は認められないので、変異型花粉が成熟以前に致死となるか、または花粉管の伸長が阻害されている可能性が考えられる。現在quartet変異株とのかけ合わせによる検討を進めている。
CKSの細胞内局在部位について検討するため、AtCKSとGFPの融合蛋白質をタバコBY-2細胞で発現させた。GFP蛍光の局在部位はMitotrackerによるシグナルと一致し、CKSがミトコンドリアに局在することが示唆された。
著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top