日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネのエリシター応答性 WRKY 型転写因子遺伝子 OsWRKY53 の発現制御機構の解析
*中条 哲也杉岡 奈帆渋谷 直人梅村 賢司竹村 哲雄岡田 憲典野尻 秀昭山根 久和
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p. 0744

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抄録
イネにおいてはキチンオリゴマーやセレブロシドなどのエリシターによって様々な抵抗性反応が誘導されることが知られている。我々は、イネからキチンエリシター応答性のWRKY 型転写因子遺伝子として OsWRKY53 を単離し、OsWRKY53 を過剰発現させたイネ植物体が病原性いもち病菌に対して抵抗性を獲得することを明らかにしてきた。この結果は、OsWRKY53 がイネの病害抵抗性反応を引き起こす重要な分子スイッチであることを示唆するものであり、その発現制御機構はエリシター認識から病害抵抗性反応を引き起こすまでのシグナル伝達経路を理解する上で非常に興味深い。そこで我々は、レポータージーンとしてホタルルシフェラーゼ遺伝子を用いたトランジェントアッセイを行うことでOsWRKY53 のプロモーター解析を試みた。OsWRKY53 の翻訳開始点上流 2 kb について 5’ 側からのデリーションシリーズを作製し、それらをパーティクルガンによりイネ培養細胞に導入後、発現解析を行った結果、-500 bp と -250 bp の間にエリシター応答性シスエレメントが存在することが示された。この領域内には、WRKY 型転写因子の結合配列であり、エリシター応答性シスエレメントと考えられる W-box がタンデムに存在していた。現在これらの W-box に部位特異的変異を導入し、キチンエリシター応答性シスエレメントとして機能していることの確認を行っている。
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© 2008 日本植物生理学会
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