抄録
我々はこれまでに、シロイヌナズナにはADP-リボースおよびNAD(P)Hピロホスファターゼ活性を有するNudix hydrolase (NUDX)が複数存在(AtNUDX2, 6, 7, 10, 14, 19)し、それらの中でAtNUDX2, 7の過剰発現が酸化ストレス耐性の向上を示すことを示した。そこで本研究では、AtNUDX2, 6, 7によるADP-リボースおよびNAD(P)H代謝、およびそれらが酸化ストレス耐性に及ぼす影響を詳細に検討した。パラコートによる酸化ストレスにより、AtNUDX7の顕著な発現誘導が認められた。AtNUDX2過剰発現株および発現抑制株は野生株と比較して、正常および酸化ストレス条件下でのNADH量に差は認められなかったが、AtNUDX7過剰発現株および破壊株ではNADH量がそれぞれ有意に減少および増加していた。また、AtNUDX6破壊株においても同様のNADH量の増加が認められた。興味深いことに、AtNUDX7過剰発現株および破壊株では種々の細胞応答の制御に機能するポリ (ADP-リボシル)化活性の上昇および低下がそれぞれ認められたが、AtNUDX6破壊株では変化が認められなかった。以上より、AtNUDX2, 6, 7は異なる作用機序により酸化ストレス耐性に寄与しており、特にAtNUDX7はNADHの代謝を介したポリ (ADP-リボシル)化の活性化に関与していると考えられた。