抄録
放射線は、DNAに傷害を与え突然変異の原因となる。生物は、その傷害を修復するためのDNA修復機構をもっている。これまでに微生物や動物において遺伝子レベルで放射線誘発変異の種類や、変異誘発とDNA修復機構の関係が調べられた。しかし、高等植物においては、それらの研究はほとんど行われていない。本研究ではモデル植物のシロイヌナズナを用いた突然変異検出システム(Yoshihara et al. 2006)により、イオンビームとガンマ線による誘発変異の特徴を遺伝子レベルで明らかにする。大腸菌のribosomal protein small subunit S12(rpsL)遺伝子を導入したシロイヌナズナにイオンビームおよびガンマ線を照射し、染色体DNAから変異を持ったrpsL遺伝子をプラスミドレスキューにより回収し、誘発された突然変異を解析する。今回は、本システムを用いて得られた結果からイオンビームおよびガンマ線の誘発変異の特徴について報告する。