抄録
ジーンターゲッティング(GT)によりイネAcetolactate synthase (ALS)遺伝子に点変異を導入し、ALS阻害型除草剤ビスピリパック(BS)耐性のイネを作出することに成功した。即ち、BS 耐性を付与する2点の変異を有するが、5'領域を欠損しているために機能的ではないALS遺伝子断片(約8kb)をアグロバクテリウム法によりイネカルスに導入した。その結果、1500個のカルスより、72個体のBS耐性植物体を得ることができた。GTベクター上にはBS耐性を付与する2点の変異に加え、サイレントな2点の変異が存在している。72個体のBS耐性個体のうち、70個体では、これら複数の点変異が導入されており、GTが生じている事が確認された。また、非常に興味深いことには、GT個体70個体中3個体では、GTベクター上の4点の変異のうち、隣り合わない2点の変異が導入されており、GTと同時にmismatch repair機構が働いた可能性が示唆された。さらに、GT後代で得られる改変型ALSのホモ接合体は、改変型ALS遺伝子の過剰発現体を上回る著しいBS 耐性を獲得しており、遺伝子の完全置換の有効性が示された。