抄録
グルココルチコイドは副腎皮質ホルモンの一つであり、核内受容体である副腎皮質ホルモン受容体との結合を介して脊椎動物の糖代謝や抗炎症作用などの重要な代謝に関わっているので新薬開発のターゲットとなっている。そのようなグルココルチコイド様活性物質や抗グルココルチコイドなどの一次選抜には多額の費用がかかるため、簡便で安価な一次選抜法の確立が求められる。これまでに植物を用いたGVGシステムや酵母を用いたレポーター遺伝子アッセイなどの例があるが、GVG システムは感度が低く、酵母のシステムは操作が煩雑である。
そこで、我々はシロイヌナズナにGRαリガンド結合ドメイン (GRα-LBD) と大腸菌由来のリプレッサーDNA結合ドメイン (LexA-DBD) を連結したエフェクター1遺伝子、転写コアクチベーター (TIF2) と転写増幅ドメインであるVP16 を5 コピー連結したエフェクター2遺伝子、及びレポーター遺伝子を連結させたプラスミドを導入し、リガンドと GR-αLBDとの結合によりTIF2-VP16×5をリクルートし、レポーター遺伝子の転写を活性化するシステムを構築した。これはTwo-hybrid Systemを応用したレポーター遺伝子アッセイであり、検出感度は高かった。また、アンタゴニスト活性検出のために、デキサメタゾンへのアンタゴニスト(ミフェプリストン)の添加によるGUS活性の低下も確認できた。