日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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硝酸還元酵素によるNO生成
*崎浜 靖子山崎 秀雄
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p. S0007

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抄録
一酸化窒素(NO)は生体内で生成されるフリーラジカルの一種である。動物細胞ではNOが生体機能の維持に必須であり、酵素的なNO生成機構として、L-アルギニンを基質としたNO合成酵素(NOS)反応が知られている。動物と同様に、植物でもNOが多彩な生理現象に関与していることが指摘されているが、NOの細胞内発生源および酵素的なNO発生機構については未だ不確定な点が多い。本講演では、硝酸還元酵素(NR)が植物におけるNO生成酵素の一つであることを紹介する。NRは植物の窒素同化系の鍵酵素であり、通常、硝酸(NO3-)を亜硝酸(NO2-)に還元する反応を触媒している。ところが、単離NR酵素系に本来の反応生成物である亜硝酸(NO2-)を加えると急速なNO生成が見られる。このNO生成反応はNR 阻害剤感受性であり、硝酸還元反応と同様にin vivo条件で制御を受けていることが報告されている。我々は、NRがNOだけでなく非常に毒性の高いペルオキシナイトライト(活性窒素種)も生成することを見出した。これらの知見は、植物生産性向上のために古くから研究されてきたNRの全く異なった性質を示すものである。
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© 2008 日本植物生理学会
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