日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物の感染応答におけるNO生成
*川北 一人
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p. S0010

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抄録
一酸化窒素 (NO) は生理的および病理的な諸過程を制御する細胞内・細胞間情報伝達系因子として働くことが知られている。非病原菌接種あるいは抵抗反応誘導物質(エリシター)処理に応答したNO生成は植物に共通な現象として認められ、過敏感反応の誘導、防御関連遺伝子の発現、抗菌物質(ファイトアレキシン)の生成といった感染防御応答機構においてNOが関与することが示されている。植物におけるNO生成系については未だに不明な点が多い。窒素同化の律速酵素である硝酸還元酵素 (NR) がNO生成系として着目された。NR遺伝子をサイレンシングしたベンサミアナタバコ植物 (Nicotiana benthamiana)では、疫病菌由来のタンパク質性エリシターINF1の処理によるNO生成活性が部分的に抑制され、NRはエリシター応答性NO生成を担う酵素であるといえる。しかし、NR以外にもNO生成系が存在している可能性は高い。植物には動物のNO合成酵素 (NOS) と類似した酵素は存在しないと考えられ、NOS活性調節タンパク質をコードすると推定される AtNOA1 がシロイヌナズナから単離されているのみである。AtNOA1 ホモログである NbNOA1 をサイレンシングしたベンサミアナタバコ葉において、INF1処理によるNO生成が抑制され、NOA1がNRに加えてエリシター応答性NO生成に関与することが示された。
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© 2008 日本植物生理学会
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