抄録
微小管機能の遺伝学的解析は、ねじれや細胞肥大を引き起こす変異株や微小管重合阻害剤に対する反応性が変化している変異株をスクリーニングことにより行われる。アラビドプシス植物体は根、暗所胚軸、葉柄、花弁などの組織が速く伸長しており、表層微小管の異常が細胞形態の変化として現れやすい。これらの変異株の多くはα又はβチューブリンのdominant negative型のアミノ酸置換型変異であった。その中でも、GTPase活性化領域の変異は安定な微小管を構築し、左巻きへリックス構造の表層微小管束を形成した。右巻き変異株のspiral1とspiral2は植物特異的な新規遺伝子ファミリーの劣性変異であり、SPIRAL1は微小管プラス端に部分的に集積する。spiral3は微小管重合核形成複合体の構成成分GCP2の劣性変異であり、安定な微小管マイナス端を形成する。一方、左巻き変異株phs1-1はMAPK phosphatase様タンパク質のdominant negative型変異であった。PHS1のフォスファターゼ活性部位の変異型を植物細胞で発現させると、表層微小管の脱重合を顕著に引き起こす。また、弱い左巻き変異株phs2は新規の微小管付随タンパク質ファミリーの変異であった。ねじれ変異株における微小管動態の観察と原因遺伝子の機能解析を通じて、植物細胞の伸長方向の制御機構が明らかになってゆくと期待される。