日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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高温ストレス下のアラビドプシスにおけるマロンジアルデヒドの二面的な生理機能
*山内 靖雄杉本 幸裕
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p. S0027

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抄録
環境ストレスを受けた植物体内で活性酸素の過剰生成とそれに引き続く不飽和脂肪酸の過酸化が起こることはよく知られているが、そのプロセスで生成する種々の反応性の高いアルデヒド化合物が植物にもたらす影響や機能に関する知見は少ない。我々はまず、植物に多く含まれているC18脂肪酸を用いたin vitroでのモデル実験を行い、リノレン酸から生じる主要な脂質過酸化生成物であるマロンジアルデヒド(MDA)のタンパク質への結合が温度に依存していることを明らかにした。このことからMDAはin vivoでは高温ストレスに関係していると仮説を立て、高温ストレスを受けた植物におけるMDAの役割に着目した。1 μM MDAを噴霧したアラビドプシスは、未処理のアラビドプシスが生存できない45℃、6時間という高温処理に耐性を示した。このMDA処理は熱ショックタンパク質(HSP)遺伝子を誘導しておらず、MDAはHSPによらない高温耐性機構を誘導するシグナル分子として機能していることが示唆された。一方、40℃の高温処理を施したアラビドプシス個体から抽出したタンパク質の抗MDAモノクローナル抗体を用いた免疫染色解析から、高温処理は多くの葉緑体タンパク質に修飾をもたらすことが分かった。これらの結果は、MDAが高温ストレスを受けた植物中で「シグナル分子」および「毒性物質」として機能している可能性を示している。
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© 2008 日本植物生理学会
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