日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

トマトにおけるゲノム情報・ゲノミクスリソースを活かした分子育種の取り組み
*津金 胤昭前田 ふみ鈴木 秀章柴田 大輔青木 孝一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. S0069

詳細
抄録
トマトはナス科植物のモデルとして注目され、ゲノム配列、完全長cDNA配列、EST配列、DNAマーカーをはじめとしたゲノム情報に加え、突然変異系統群、染色体置換系統群、野生種等の遺伝資源といった研究リソースの整備が急速にすすめられている。これらの情報やリソースは、ナス科植物の基盤的研究に役立つだけでなく、品種改良や栽培法の開発など応用研究にも活用できると考えられる。
我々は、機能性成分を高含有するトマトの育成を目標に品種改良を行っている。標的の一つがトマトの果皮に特異的に多く認められるフラボノイド類の一種ナリンゲニンカルコンである。野生種には、同じくフラボノイド類のアントシアニンを果皮と果肉に含むものがある。そこで、野生種がもつアントシアニン蓄積遺伝子座(Anthocyanin fruit, Aft)に連鎖したDNAマーカーの開発を行った。Aft遺伝子座をもつ系統「LA1996」と「Micro-Tom」のF2集団を作出し、アントシアニン蓄積に関わる遺伝子や公開DNAマーカー、Conserved Ortholog Set II (COSII)を利用して解析を行った。その結果、Aft遺伝子座と強く連鎖したDNAマーカーを見出した。このようにして、トマトのゲノム情報やゲノミクスリソースは、応用場面にも役立つと期待される。
著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top