日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Qb-SNARE VTI11欠損変異zigの抑圧変異体解析から見えてきたシロイヌナズナ小胞輸送ネットワーク
*森田(寺尾) 美代橋口 泰子新濱 充田坂 昌生
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p. S0075

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抄録
高等植物における小胞輸送と高次機能との関連についての研究が進む一方で、必須遺伝子の場合や機能重複のある遺伝子ファミリーの場合、植物個体レベルでの解析は容易でない側面もある。我々が単離したシロイヌナズナzig変異体は、trans-Golgi network (TGN) - prevacuolar compartment (PVC)/液胞間の小胞輸送に関与するQb-SNARE VTI11の機能欠損変異体であり、地上部の重力屈性及び形態に異常を示す。本研究は、zigを抑圧するサプレッサー変異体zip(zigzag suppressor)の解析を通して、小胞輸送関連因子の分子ネットワークの遺伝学的な関係を解くことを目的としている。
zip3zigの表現型を部分的に抑圧するAtVPS35bの機能欠損変異体であった。AtVPS35は、酵母Vps35pとの相同性から、AtVPS29, AtVPS26と共にレトロマー複合体の構成因子として、PVC-TGN間の逆行輸送に関与すると考えられている。シロイヌナズナゲノム中にはVps35, 29, 26と相同性を示す遺伝子が3, 1, 2個あると予測されている。AtVPS29の発現量が低下しているmaigo1-1変異と、AtVPS26bのT-DNA挿入変異は、それぞれzig変異を抑圧することがわかった。従って、AtVPS35b, 29, 26bzig抑圧という共通の機能を持ち、おそらくレトロマー複合体として共に機能している可能性が強く示唆された。また、AtVPS35の3つの相同遺伝子が高次の生理機能において果たす役割の違いとzig変異抑圧のメカニズムについても報告する。
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© 2008 日本植物生理学会
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