抄録
エンドサイトーシスは,かつて植物細胞における小胞輸送経路網の中でも一際研究が立ち遅れていた輸送経路であった.しかしながら,近年の分子遺伝学的解析の目覚ましい成果と,それに続く細胞学的な知見の蓄積により,現在は非常にホットな研究対象へと変貌を遂げている.我々は,このエンドサイトーシス経路の重要性にいち早く注目し,その分子機構と高次機能発現における役割を明らかにするべく研究を行ってきた.その結果,植物が動物とは大きく異なるエンドサイトーシスの制御機構を獲得していることが明らかになりつつある.本シンポジウムにおいては,最近我々が見いだしたRab5を介した互いに拮抗的に機能する2つのエンドサイトーシス制御機構の存在とともに,エンドサイトーシスが関与する植物の多様な生命現象について最新の知見を紹介したい.