抄録
ショ糖を含む栄養培地で培養していたタバコ培養細胞(BY-2)をショ糖を欠いた培地に移すと、(1)タンパク質やリン脂質などの細胞の構成成分が正味の分解を受ける、(2)液胞が大きくなり細胞が成長する、といった現象が起こる。これらの現象を解析して、(3)細胞内タンパク質は、最初は、オートファジーと呼ばれる真核細胞に共通の機構によって分解されるが、後に、液胞が関与する別の機構によって分解されること、(4)膜リン脂質の分解にはオートファジーはほとんど寄与していないこと、(5)リボソームはオートファジーによって分解されること、(6)液胞の拡大化と細胞の成長にオートファジーが関与していること、を明らかにした。これらの解析の経過を報告する。