抄録
イネの種子形を制御する遺伝子を同定し、その生化学的機能を解明することは、種子形デザインの可能性を広げると考えられる。我々は、Taichung 65を親品種にもつ、イネ短粒変異体small and round seed1-1 (srs1-1) の変異原因遺伝子をマップベースクローニング法によって同定した。srs1-1 の変異は弟7染色体長腕97.4cM近傍に座乗するcDNA(AK120310)内に存在する可能性が示唆された。アグロバクテリウム法によってsrs1 にcDNA(AK120310)を用いて、相補実験を行ったところ、形質転換体の表現形は野生型に回復した。以降、cDNAをコードする遺伝子をSRS1 と呼ぶ。SRS1 は、10個のエキソンから構成され、全長cDNAは1366アミノ酸をコードしていた。N末端180アミノ酸領域にCIP7と相同性が見られたが、CIP7においては、この領域は機能ドメインではなかった。srs1-1 は第7エキソンに38塩基の欠失が生じていた。cDNA(AK120310)の情報に基づいて関連する短粒変異体を解析したところ、新たに4種類の短粒変異体 (srs1-2, srs1-3, srs1-4, srs1-5) がsrs1-1 のアリルであることが明らかになった。現在、SRS1タンパク質の生化学的解析を進めている。