抄録
高等植物において発芽直後の成長は個体の生存にとって重要である。発芽直後の植物体はエネルギーの大部分を成長のために分配し、脂質やデンプンなどの貯蔵物質合成への分配は少ない。我々はシロイヌナズナにおいて発芽直後における炭素分配を制御する分子機構を明らかにするため、CRES-T法により転写因子の機能を抑制させた変異体ライブラリーから発芽直後の生育にスクロースを要求するものを選抜した。その結果、zinc fingerドメインをもつ転写因子の1つが発芽直後の貯蔵物質への炭素分配を制御していることが示唆された。我々はこの転写因子をLOG1(low growth 1)と名付けた。log1はスクロース非添加培地においてWTと比べて成長が遅いものの、スクロース添加培地ではWTと同程度の成長を示した。またlog1は播種3、5日目の個体において、WTと比べて可溶性糖含量が低く、デンプン含量が高いことが示された。さらにlog1ではデンプン合成の鍵酵素であるADP-glucose pyrophosphorylaseのlarge subunitであるAPL3、4の発現量増加が認められた。以上よりlog1は発芽直後の植物体において、APL3、4の発現を負に制御することでデンプンの蓄積を抑制し、貯蔵物質への炭素分配を制御していることが示唆された。