日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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NAC転写因子NARSによって制御される種皮ムシラーゲ蓄積の分子機構の解析
*國枝 正光田 展隆高木 優武田 征士相田 光宏田坂 昌生近藤 真紀深澤 美津江西村 幹夫西村 いくこ
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p. 0018

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抄録
シロイヌナズナの未熟種子は,分化した5つの細胞層からなる珠皮をもつ.最も外側の珠皮細胞層である外珠皮第2細胞層は,種子形成に伴ってムシラーゲと呼ばれるペクチン性多糖を大量に蓄積する特徴がある.我々は,植物特異的なNAC転写因子ファミリーに属する2遺伝子が,機能重複して種子形成を制御することを最近明らかにした(1).NARS1およびNARS2と命名したこれら遺伝子は,ともに未熟種子の外珠皮細胞特異的に発現しており,nars1 nars2二重変異体の外珠皮第2細胞ではムシラーゲの蓄積異常を示す.NARSが制御するムシラーゲ蓄積の分子機構を明らかにするために,NARSの下流で機能する因子の探索を行った.DNAマイクロアレイ解析から,nars1 nars2二重変異体では300を超す遺伝子が発現量を大きく低下させることが判明した.ムシラーゲ蓄積に特化して機能する因子を絞り込むため,ttg1-1変異体に着目した.ttg1-1変異体は,nars1 nars2二重変異体と同様にムシラーゲの蓄積異常を示す.nars1 nars2二重変異体とttg1-1変異体では,15遺伝子の発現が共通して低下していた.これらの因子は,ムシラーゲ蓄積に関与すると考えられる.
(1) Kunieda et al., Plant Cell, 2008. doi: 10.1105/tpc.108.060160.
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© 2009 日本植物生理学会
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