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ミトコンドリアDNA(mtDNA)の複製・転写・修復は、生体内においてタンパク質で高次に組織化されたミトコンドリア核様体内で制御されている。我々は、mtDNAの機能発現に関与するタンパク質を同定するため、大型核様体をもつ真正粘菌を用いて、その構成タンパク質を解析してきた。
本研究では、高いDNA結合能をもつ核様体構成タンパク質である56kDaタンパク質(p56)について解析を行った。p56の遺伝子を決定した結果、N末端側にmtDNAの酸化的ダメージ修復への関与が示唆されている、酵母や細胞性粘菌のMgm101に高い相同性があった。ゲルシフト解析の結果、p56はmtDNAと配列非特異的に結合し、C末端側はDNA結合能を上昇させることがわかった。また細胞免疫染色においてp56は核様体全体に局在することが示唆された。細胞内でのp56の発現量は、酸化誘導剤により細胞に酸化ストレスを与えることで増加した。さらに、遺伝子導入系の改良とマイクロインジェクション法の開発を行い、遺伝子発現阻害を試みた結果、p56の発現量低下に伴って、酸化誘導剤によるDNA変異量が増加した。さらに他のDNA修復タンパク質(RecA)の発現量の増加もみられた。以上より、p56はRecAと共にmtDNAの酸化的ダメージ修復に関与している可能性が示唆された。現在、それらの相互作用について解析している。