日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Ycf4複合体は光化学系I複合体の分子集合のスキャフォールドである
*小澤 真一郎高橋 裕一郎
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p. 0040

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抄録
光化学系I複合体(系I複合体)の分子集合に必須なYcf4は、1000 kDa以上の大きな複合体(Ycf4複合体)の成分である。これまで、TAPタグを融合したYcf4を発現する緑藻クラミドモナスの形質転換株のチラコイド膜可溶化物から、2段階のアフィニティーカラムクロマトグラフィーでYcf4複合体を精製し、Ycf4複合体には、レチナール結合タンパクであるCop2と系IのサブユニットPsaFが存在することを既に明らかにした。今回は、Ycf4複合体に含まれるタンパク質組成の解析をウェスタン解析と質量分析によって進めた。その結果、Ycf4複合体にはPsaFに加えて系I反応中心サブニットPsaAとPsaBおよびPsaDが存在することがわかった。これらのサブユニットはクロロフィルタンパク質複合体を形成しており、Ycf4複合体から容易に解離する。したがって、Ycf4複合体上で分子集合されつつある前駆体であると考えられる。35Sによるパルスチェイス実験から、新規に合成された系I複合体のタンパク質とYcf4複合体は相互作用することが示唆された。以上の結果から、Ycf4複合体は光化学系I複合体の分子集合過程の効率化に必要なスキャフォールドとして機能していると考えられる。
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© 2009 日本植物生理学会
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