日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Acaryochloris marinaの光化学系I型反応中心の極低温レーザ分光
*青田 俊道
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p. 0043

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抄録
光エネルギーを化学エネルギーに変換する光合成においてクロロフィル色素(Chl)は主要な役割を担う。これまで、全ての酸素発生型の光合成生物では、Chl aは光を獲得しエネルギー変換において必須で例外はないとされてきた。しかし、1996年に発見された光合成生物Acaryochloris marina (A.marina)は、Chl dを主要色素とし、Chl aより遠赤色光を利用して光合成を行うことが報告され、既知の酸素発生型の光合成生物よりも10%ほど低いエネルギーで駆動する光合成の存在が明らかになった。A.marinaにおいて光合成の初期反応を担う光化学系I複合体については、これまでアミノ酸配列が同定や分光学的測定がなされているが、その詳細は明らかにされていない。
本研究では、A.marinaの光化学系I複合体の色素の配向や分光学的特徴について、円二色性(CD)、直線二色性(LD)スペクトル測定、極低温での定常状態での吸収と過渡吸収を用いて調べた。P740の酸化還元差スペクトルにおいては、高い波長分解で測定することができた。この結果、これまで730nm付近での褪色だと報告されていたバンドについて、短波長側に正のバンドを見られ、シャープなバンドシフトである可能性が高いことがわかった。これらの結果をChl dを持たない光合成系と比較し議論する。
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© 2009 日本植物生理学会
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