日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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緑藻クラミドモナスにおけるステート2において形成されるPSI-LHCI/II超分子複合体の生化学的解析
*高橋 拓子小澤 真一郎高橋 裕一郎
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p. 0042

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抄録

光環境馴化の一つであるステート遷移は、光化学系I(PSI)とII(PSII)の励起のバランスを保ち、電子伝達反応を効率化する機構である。PSIとPSIIの間の電子伝達を仲介するシトクロムb6f複合体の還元がシグナルとなり誘導されるステート2では、PSIIの集光性複合体(LHCII)の一部であるモノマーLHCIIのCP26, CP29, LhcbM5がPSI-LHCI複合体に可逆的に結合し、PSI-LHCI/II超分子複合体を形成することを報告した。本研究では、PSI-LHCI/II超分子複合体に結合するモノマーLHCIIの量と機能について報告する。PSI-LHCI/II超分子複合体をNaCl存在下で解離させて得られたPSI-LHCIとモノマーLHCIIのクロロフィル量比を求めたところ、100 : 36 であった。またP700光酸化量を分光学的に求めると、P700あたりのクロロフィル存在量は、PSI-LHCI/IIではPSI-LHCIのおよそ1.2倍に増加していた。さらに閃光強度を変えてP700の光酸化強度を測定すると、PSI-LHCI/IIではPSI-LHCIよりアンテナサイズが大きいことが示された。これらの結果は、ステート2でPSI-LHCIに結合するモノマーLHCIIは、PSI-LHCIのアンテナとして機能し、そのサイズを20-40 %増加させることを示している。

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© 2009 日本植物生理学会
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