日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラン藻Synechococcus elongatusのABC型シアン酸イオン/亜硝酸イオン輸送体の解析
*前田 真一小俣 達男
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p. 0057

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抄録
淡水性のラン藻には、nrtABCD遺伝子群によってコードされ、硝酸イオンおよび亜硝酸イオンに対して高い親和性(Km値がそれぞれ約1μM)を示すABC型の輸送体が存在する。Synechococcus elongatusは、この硝酸イオン/亜硝酸イオン輸送体の他に、Km(NO2-)値が20μMの亜硝酸イオン能動輸送活性を持つ。我々はこの亜硝酸イオン輸送活性がcynABD遺伝子群によってコードされているABC型の輸送体に依存していることを見いだした。cynABD遺伝子群の下流にはシアン酸イオン分解酵素遺伝子cynSが存在し、CynABD輸送体はシアン酸イオン(NCO-)を輸送することが予想されていた。実際CynABD輸送体による亜硝酸イオンの輸送活性はシアン酸イオンにより競合的に阻害され、そのKi(NCO-)値は0.025μMと算出された。CynABD輸送体は窒素欠乏条件下で強く発現し、その最大輸送活性はシアン酸イオン及び亜硝酸イオンに対しそれぞれ13および12μmol mg-1Chl h-1であり、これらの値はS. elongatusが良好に生育するために必要な窒素量の約30%であった。CynABD輸送体の基質特異性およびその発現様式は、この輸送体の生理的役割が外界の非常に低い濃度のシアン酸イオンを窒素飢餓の細胞に供給することであることを示唆している。
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© 2009 日本植物生理学会
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