抄録
【背景・目的】慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者は,労作時の息切れにより日常生活活動(以下ADL)が制限される.呼吸器疾患患者の息切れは特定の動作姿勢や動作速度により生じることが多く,一般的ADL尺度では息切れによるADL障害を捉え難いため,呼吸器疾患特異的なADL尺度が必要となる.
【対象・方法】在宅COPD患者29名に対し,ADL尺度「Pulmonary ADL(Ver. 2)」(以下P-ADL(Ver. 2))を用いてADL評価を行い,他因子との関連性および一般的なADL尺度であるfunctional independence measure(FIM)との優位性を検討した.
【結果】P-ADL(Ver. 2)は妥当性・信頼性が高く,肺機能,6分間歩行距離(以下6MWD)等の他因子との間に強い相関関係を認めた.また,FIMとの間にも強い相関を認めたが,FIMでは6MWDにおいて天井効果を示した.
【結論】P-ADL(Ver. 2)は,呼吸器疾患特有のADL障害を評価しうる指標であることが示唆された.P-ADL(Ver. 2)を用いてADL障害の原因を分析することにより,患者に対してより具体的なADL指導が可能になると考える.