日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アントシアニンの発色に関わる膜輸送体遺伝子群の探索
*中西 洋一佐古 建志幡谷 恵莉子今井 悠前島 正義
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p. 0082

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抄録
植物の液胞は、その内部に様々な物質を貯めることで細胞内での物質貯蔵、有害物質隔離、イオン濃度・水素イオン濃度(pH)の調節、空間の充填などの機能を担う。このため、液胞膜には様々な物質の膜輸送システムが備わっている。しかし、それら膜輸送の多くの分子実体はいまだ不明である。
そこで、植物の主要な色素の一つであるアントシアニンに着目した。アントシアニンは液胞に蓄積して、赤色から青色の発色をするが、色調はそれ自体の分子構造の違いだけでなく、色素の電離状態を変化させるpHや、アントシアニンと複合体を形成する低分子化合物(助色素)、発色団に配位する鉄イオンやアルミニウムイオンなどの金属イオン、液胞内のアントシアニン結合タンパク質などの影響を受ける。これを逆の視点で考えると、アントシアニンの色調から液胞内のpHやイオン濃度など液胞内環境を知ることができる。本研究では、アントシアニンを天然の指示薬に見立て、発色に関わる植物の膜輸送体を探索した。
先に我々が開発した膜輸送体遺伝子限定の遺伝子コレクション(Amethyst)を改良し、植物過剰発現用ライブラリを作製した。これを、アントシアニンを蓄積して赤くなるシロイヌナズナの変異株(pap1-D)を親株として、アグロバクテリウム法で形質転換した。形質転換体集団の中から、色調が変化した植物を選抜した。
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© 2009 日本植物生理学会
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