抄録
高等植物の原形質膜局在型アクアポリンはPIP1とPIP2の2種類に分類できる。これらPIP2とPIP1はアフリカツメガエル卵母細胞の機能発現系で同時に発現させるとそれぞれ単独で発現させた場合より大きな活性を示すことが知られていて、この現象はアクアポリンの活性調節機構の一つである可能性が指摘されている。この活性のメカニズムには、protein trafficとヘテロ四量体形成が関与していると考えられていている。先行してX線構造解析されたPIP2のデータから四量体形成に関わると推定される構造を見ると、隣り合ったモノマー間には20数アミノ酸残基が接着に関与しているが、そのほとんどが膜貫通ドメインにあった。PIPタンパク質の膜貫通ドメインはアミノ酸配列の保存性が非常に高いので、PIPタンパク質分子同士なら1型2型に関わらず複合体形成が可能であると推定された。これは我々の実験でオオムギのPIP1とPIP2のほとんどの組み合わせで共発現による活性化がみられることによって裏づけられた。一方、protein trafficに関しては、N末配列を交換したキメラタンパク質の実験から、N末配列に原形質膜へターゲットするための配列が含まれていることを示す結果が得られたので、現在そのモチーフを確定する解析を行っている。この研究は生研センター基盤研究推進事業によって実施された。