日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物ホルモンの情報伝達を司る遺伝子の多重変異が植物の病原体抵抗性に与える影響
*津田 賢一佐藤 昌直Stoddard ThomasGlazebrook Jane片桐 文章
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p. 0092

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抄録
植物は病原体のMAMP(microbe-associated molecular patterns)を認識し、防御応答を誘導する。最近我々は、MAMPによって誘導される病原細菌Pseudomonas syringae pv. tomato DC3000 (PstDC3000)に対する抵抗性は、サリチル酸 (SA) シグナリングに部分的に依存していることを報告した。ジャスモン酸 (JA) やエチレン (ET) を介したシグナリングは一般的に、SAシグナリングを抑制し、この病原体に対する抵抗性に負の影響をもつと考えられている。我々は、JA, ET, SAシグナリングを司る遺伝子(DDE2, EIN2, PAD4, SID2)に変異を持つシロイヌナズナ変異体から四重変異体を作製し、これらのシグナリングが、防御応答シグナルネットワークにおいて協調的に働く可能性を調べた。驚くべきことに、MAMPの一種であるflg22によって誘導されるPstDC3000への抵抗性の80%が、この四重変異体において消失した。この結果は、次のことを示唆している。1)flg22が誘導する抵抗性に寄与するシグナルネットワークの大部分がこれらの4つの遺伝子によって制御される。2)JA/ETシグナリングはMAMPによって誘導されるPstDC3000への抵抗性に正に寄与する。
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© 2009 日本植物生理学会
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