抄録
植物の葉は向背軸、中央側方軸、基部先端部軸の3つの軸に沿って形成される。ASYMMETRIC LEAVES2 (AS2) は植物に特異的な保存領域( AS2ドメイン)をもつタンパク質をコードしており、その機能欠損型変異体 as2 は、葉の形成の3つの軸全てに異常が現れる。これまでの研究から、AS2 は扁平で左右対称な器官の形成に必要であると考えられているが、その分子機能はまだ明らかにされていない。我々は AS2 と遺伝的相互作用をする因子を得るため、as2 変異体のエンハンサー及びサプレッサーのスクリーニングを行った。その結果、エンハンサー候補の1つとして #16 変異体が得られた。 as2 変異体背景の #16 変異体は、向背軸形成が不全の場合に観察される棒状やはす状の葉を形成した。野生型背景の #16 変異体では向背軸性の異常は観察されず、#16 変異体は、as2 変異体の向背軸形成の異常を亢進すると考えられる。また、#16 変異体は温度感受性を示し、高温条件下でより重篤な異常を示した。高温条件下の#16変異体では、葉だけでなく、花序にも異常が観察された。マップベースクローニングにより、#16変異は、第5染色体下腕に座上することが分かった。