抄録
“ヒトiPS細胞由来分化心筋・肝臓・神経細胞を用いた各種安全性評価技術について、新規医薬品開発への応用可能性を実験的に検証し、将来的展望も含め実用に向け世の中に提言する”目的で、2013年7月8日、“ヒトiPS細胞応用安全性評価コンソーシアム(CSAHi)”が発足した。本コンソーシアムでは、日本製薬工業協会加盟企業28社と安全性試験受託研究機関協議会加盟企業8社、計36社がメンバーとして、“心筋チーム”、“肝臓チーム”、“神経チーム”及び“細胞性状解析チーム”の4チームに分かれ共同研究を実施している。共同研究は各社予算に基づき、24社にも及ぶ協賛企業の助けを借りながら研究を進めている。また、国立医薬品食品衛生研究所薬理部(NIHS)、大阪大学、京都大学iPS細胞研究所からアドバイザリー委員の先生をお招きし、議論に加わっていただきながら2016年3月での目標達成を目指している。
2013年7月、CSRC/HESI/FDA Meeting において、ICH E14ガイドライン(非抗不整脈薬におけるQT/QTc間隔の延長と催不整脈作用の潜在的可能性に関する臨床的評価)の2015年7月での廃止、ICH S7Bガイドライン(ヒト用医薬品の心室再分極遅延(QT間隔延長)の潜在的可能性に関する非臨床的評価)の2016年7月での改定が提案され、米国ではComprehensive in vitro Proarrhythmia Assay (CiPA)が、日本ではNIHSが中心となり厚生労働科学研究「ヒトiPS細胞由来心筋細胞による催不整脈作用予測性の検証試験(JiCSA)」が立ち上がり、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた検証試験が進められている。本シンポジウムでは、CSAHiの進捗報告に留まらず、CiPA及びJiCSA代表にも進捗をお話いただき、各団体が連携した世界動向も含め紹介する。