日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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花粉においてオルガネラDNAの分解を担う遺伝子の単離と解析
*松島 良Tang Lay Yin蘇都莫 日根Twell David坂本 亘
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p. 0155

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抄録
植物細胞は核以外に色素体とミトコンドリアに独自のオルガネラDNAを保持している。オルガネラDNAの量は、植物の発生段階によって変動し一定では無い。特に、花粉の発生過程において、栄養細胞(後に花粉管に分化する細胞)ならびに雄原細胞(後に精細胞に分化する細胞)の形成時に、オルガネラDNAが劇的に減少することが知られているが、その分子機構は不明である。我々は、DNA特異的結合試薬であるDAPIによる染色法を用いて、花粉におけるオルガネラDNAの減少が起きないdpd1変異体 (defective in pollen organellar DNA degradation)の単離に成功した。dpd1変異体では栄養細胞の細胞質に野生型では観察されないDAPIのシグナルが多数観察される。花粉における色素体とミトコンドリアの可視化系 (Plant Cell Physiology 49: 81-91, 2008)を構築し、二重染色実験を行った結果、dpd1変異体で観察される細胞質のDAPIシグナルは色素体とミトコンドリアの両方に共局在していた。このことは、dpd1変異体は両方のオルガネラDNAの分解系に異常を持つことを示している。本発表ではdpd1変異体の表現型解析、原因遺伝子の単離とその機能解析の結果について報告し、花粉におけるオルガネラDNA分解の生物学的意義について考察する。
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© 2009 日本植物生理学会
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