日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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珪藻PSII標品に存在する強力なプロテアーゼ
*野口 恵理長尾 遼鈴木 健裕堂前 直奥村 彰規岩井 雅子榎並 勲
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p. 0165

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抄録
中心目珪藻Chaetoceros gracilisから部分的に精製した酸素発生光化学系II標品(crude PSII)は暗所、室温で放置するだけで、PSIIを構成するほとんどのサブユニットがランダムに激しく限定分解されることを見出した。このような限定分解は、高等植物などのPSIIでは見られず、珪藻の粗PSIIには独特の強力なプロテアーゼが存在する可能性が高い。この限定分解は、EDTA、PMSF、Cuイオンにより、大きく阻害されるので、金属プロテアーゼやセリンプロテアーゼが関与すると考えられる。40~45℃で最も高い分解活性を示し、50℃以上で分解は抑制された。また、PSIIを構成するサブユニットによって、pHにより分解活性が異なるので、pH依存性の異なる複数のプロテアーゼが存在すると思われる。これらのプロテアーゼの局在性を調べる目的で、crude PSIIを1% Triton X-100で可溶化してから、DEAE トヨパールカラムにかけ、FCPを含まないpure PSIIを精製したところ、pure PSIIでは、crude PSIIで見られたような激しい限定分解は観察されなかった。従って、crude PSIIに存在していたプロテアーゼは、カラム操作過程で遊離したと考えられる。現在、遊離したプロテアーゼを含む画分を検索している。その結果についても報告する予定である。
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© 2009 日本植物生理学会
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