抄録
ゲノム情報は膨大で、種間で同じ機能を持つと推測される蛋白質をコンピューター上で整理整頓することは、非常に手間がかかる。そこで我々は、植物種を超えて遺伝子の機能を推定するのに役立つ、SALAD database (http://salad.dna.affrc.go.jp/salad/) を開発した。SALAD databaseは、種内・種間で進化において保存されてきた様々なアミノ酸配列(モチーフ)の組み合わせによりタンパク質を分類することができるゲノム比較データベースで、非常に簡単な操作で短時間に蛋白質のアミノ酸配列の類似性の解析が可能である。今回、そのデータベースのver.2として新たに生物種を7種(イネ、ソルガム、シロイヌナズナ、ヒメツリガネゴケ、紅藻、緑藻、酵母)に増やした。これらの種を追加したことで、単子葉で保存されているモチーフや、植物の陸上化に伴って獲得したと考えられるモチーフなど、さらに多くの比較解析が可能となった。さらに、SALAD databaseとマイクロアレイデータを組み合わせた新しいViewer (SALAD on ARRAYs)を開発し、イネの花粉のLM マイクロアレイデータを公開している。この機能をつかえば、目的とする遺伝子とパラロガスな(もしくは機能的に近い)遺伝子間の発現比較が簡単に行え、マイクロアレイのデータ解析の強力な手助けとなる。