日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ジーンターゲッティングによるイネアントラニル酸合成酵素遺伝子の人為的改変
*雑賀 啓明小野寺 治子土岐 精一
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p. 0199

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抄録
相同組換えを利用したジーンターゲッティング(GT)は、従来の遺伝子導入方法とは異なり、標的遺伝子だけを狙い通りに改変することができる非常に有用な技術である。本研究では、GT技術を活用し、トリプトファン(Trp)合成の鍵酵素であるアントラニル酸合成酵素をコードするOASA2遺伝子に変異を導入した。その結果、Trpアナログである5メチルTrp(5MT)に耐性を示し、遊離Trpが高蓄積するイネを作出することに成功した。
Trp高蓄積型の2点変異(S126F/L530D)を有するが、5’領域を欠損しているために機能的ではないOASA2遺伝子の断片7.0kbをアグロバクテリウム法によりイネカルス(品種日本晴)に導入した。その結果、850個のカルスから、内在性のOASA2遺伝子に変異を導入することに成功し、5MT耐性を示すイネを1個体獲得した。得られたT0及びT1個体を用いたサザン解析から内在性OASA2遺伝子を予想通りに改変することに成功していることが示された。さらに、GTによる改変型OASA2遺伝子をホモで持つ個体の葉身では、高濃度の遊離Trpが蓄積していることが示された。また、S126F/L530D以外の変異についても導入することに成功しているので、併せて報告したい。
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© 2009 日本植物生理学会
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