日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナELO相同因子の機能と細胞死との関連
*角田 智佳子長野 稔内宮 博文川合 真紀
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0215

詳細
抄録
Bax Inhibitor-1 (BI-1) は、生物界に広く保存された細胞死抑制因子である。シロイヌナズナのBI-1 (AtBI-1) は、小胞体に局在する7回膜貫通型の膜タンパク質であり酸化ストレス誘導性細胞死を抑制する機能を持つ。しかし、AtBI-1による細胞死抑制機構の詳細なメカニズムはいまだ明らかとなっていない。
これまでの研究から、シロイヌナズナにおいてAtBI-1はシトクロムb5 (AtCb5) を介してスフィンゴ脂質脂肪酸 2-ヒドロキシラーゼ(AtFAH)と相互作用する可能性が示唆されている(Nagano et al., Plant Journal, in press)。さらに最近、出芽酵母を用いた解析により、AtBI-1の細胞死抑制機構に脂肪酸伸長酵素であるELO2, ELO3が関与する可能性が示された。ELOは、脂肪酸伸長反応の最初の段階を触媒する縮合酵素であり、出芽酵母のELO2, ELO3は極長鎖脂肪酸の生成に不可欠であることが知られている。シロイヌナズナには4つのELO相同因子が存在し、そのうち2つが動物・酵母のELOに共通して存在するモチーフ配列を有するが、その機能は明らかとなっていない。今回は、シロイヌナズナELO相同因子の機能と、AtBI-1による細胞死抑制機構との関連について報告する。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top