日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおけるスフィンゴ脂質脂肪酸ヒドロキシラーゼの役割
*長野 稔内宮 博文川合 真紀
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p. 0216

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抄録
スフィンゴ脂質は真核生物の膜を構成する脂質であり、シグナル伝達、タンパク質輸送、プログラム細胞死など様々な細胞内反応で重要な働きをすることが知られている。スフィンゴ脂質は、糖やリン酸などの頭部と、長鎖塩基及び脂肪酸からなるセラミド部位から構成され、その特徴の一つとして2-ヒドロキシル化された脂肪酸(2-ヒドロキシ脂肪酸)を有することが挙げられる。2-ヒドロキシ脂肪酸の形成はスフィンゴ脂質脂肪酸ヒドロキシラーゼ、fatty acid hydroxylase (FAH) が担うことがこれまでに明らかとなっている。シロイヌナズナにはFAHは2つ存在し(AtFAH1, AtFAH2)、ともに小胞体膜に局在する。出芽酵母を用いた解析から、シトクロムb5と相互作用することでヒドロキシラーゼ活性を増大させることが明らかとなった。さらに、シロイヌナズナにおいて、AtFAH1はC22以上の脂肪酸を、AtFAH2はC16の脂肪酸を主に基質とするヒドロキシラーゼであることを見出した。また、シロイヌナズナのAtFAH1のノックダウン系統及びT-DNA挿入変異体を用いた解析から、2-ヒドロキシ脂肪酸が酸化ストレス耐性に関与することが明らかとなった。今回の発表では、シロイヌナズナにおいてAtFAHsが担う役割について報告する。
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© 2009 日本植物生理学会
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