日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアの翻訳因子EF-Gのレドックス状態を介した翻訳調節
*小島 幸治諸田 拓哉日原 由香子本橋 健畠山 和佳子久堀 徹林 秀則西山 佳孝
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p. 0224

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抄録
翻訳因子EF-Gはタンパク質合成の翻訳伸長反応で主要な役割を担う。シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803のin vitro翻訳系を用いた研究から、EF-GのCys残基の酸化が活性酸素による翻訳の酸化傷害の主な要因になることが明らかになっている。本研究ではEF-G (Slr1463)について、酸化の標的となるCys残基を同定し、Cys残基のレドックス状態と翻訳活性との相関を調べた。Cys残基の改変およびペプチドマッピング解析の結果から、Cys105とCys242が酸化の標的となり、両者の間にジスルフィド結合が形成されることがわかった。さらに、このジスルフィド結合がチオレドキシンによって還元されることも明らかになった。標的Cys残基をSerに改変したEF-Gは、酸化処理を行ってもin vitro翻訳系において機能を保持していた。これらの結果から、EF-Gのレドックス状態による翻訳の制御機構および、光合成電子伝達系からチオレドキシンを介してEF-Gに至る還元シグナルの存在が示唆される。現在、NADPH-チオレドキシン還元酵素破壊株を用いて、in vivoにおけるEF-GのCys残基のレドックス状態を調べ、翻訳制御に至る還元シグナル伝達系路を検証している。
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© 2009 日本植物生理学会
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