日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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カルシウム依存キナーゼは環境ストレスに応答して細胞内で酸化される
*中西 華代森 仁志前島 正義久堀 徹
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p. 0225

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抄録
チオレドキシンは生体内で還元調節を仲介する分子の一つであり、他の分子のジスルフィド結合を還元することで、相手分子の機能を制御する。私たちは膜輸送体やレセプターなど細胞機能に重要な分子が存在する細胞膜に着目し、チオレドキシンと相互作用する分子を網羅的に捕捉して、これらの分子のレドックス調節を生化学的に解析してきた。そして、細胞膜アンカー型カルシウム依存キナーゼ(CDPK)が、チオレドキシンにより還元調節されることをin vitroで明らかにした。
今回は、CDPKの還元調節が細胞内で実際に起こるか確かめるため、培養細胞に様々なストレスを与え、この酵素が還元型から酸化型に変換されるかを調べた結果を報告する。
シロイヌナズナT87培養細胞に塩、植物ホルモン、過酸化水素などを添加し1-24時間培養した。回収した細胞からTCAでタンパク質を抽出し、システイン修飾薬でラベルした。CDPKに対する特異抗体を作製し、ラベルしたサンプルのウエスタンブロッティングを行ったところ、培養細胞に過酸化水素を与えて6時間後から、システイン修飾薬でラベルされない酸化型酵素が検出された。これらの結果から、還元型CDPKが外から与えられた酸化ストレスにより、細胞内で酸化され不活性化されることが示唆された。このようにして生じた酸化型酵素をチオレドキシンが還元し、再活性化すると考えられる。
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© 2009 日本植物生理学会
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