日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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新奇ジベレリン信号伝達因子GAF1の機能解析
*深澤 壽太郎村越 悟寺村 浩那須野 慶西田 尚敬吉田 充輝神谷 勇治山口 信次郎高橋 陽介
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p. 0254

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抄録

植物ホルモン・ジベレリン (GA) は発芽・伸長成長・開花時期を制御することが知られている。GA信号伝達において、植物固有のGRAS family に属するDELLAタンパク質は、核内で主要な抑制因子として機能し下流の信号伝達を抑制しているが、GAの添加にともない速やかに分解される。GAレセプター、SCF複合体の発見によりDELLAタンパク質の分解までの経路が明らかとなった。我々は、下流の信号伝達経路を明らかにする為、DELLAタンパク質(GAI,RGA)と相互作用する転写因子GAF1を単離した。GAF1過剰発現体は、開花時期の促進、胚軸の伸長、葉の展開といった表現型を示した。酵母、植物を用いたモデル実験において、GAF1は、塩基配列特異的な結合能を有する転写因子であり、GAF1単独では、それほど強い転写活性化能を示さず、GAIと相互作用することにより強い転写活性化能を有することを示した。また、BiFC解析により、植物細胞内においてGAF1とGAIの相互作用は、GA量依存的なGAIタンパク質の分解により、消失することがあきらかとなった。以上より、GAF1は、GA内生量の変化にともないGAF1複合体の構成を変えることによって、その転写活性化能を調節する可能性が示唆された。これらのモデル実験をもとに、GAF1の標的遺伝子の探索を行っている。

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© 2009 日本植物生理学会
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