日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ジベレリンとその受容体、およびDELLAタンパク質複合体の結晶構造
*村瀬 浩司平野 良憲Sun Tai-ping箱嶋 敏雄
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p. 0253

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抄録
ジベレリン(GA)は植物の生長や発達に関わる重要な植物ホルモンの一種である。GA応答はDELLAタンパク質と呼ばれる転写因子によって制御されており、細胞がGAシグナルを受容するとDELLAは速やかに分解され、GA応答遺伝子群の発現が変動する。DELLAの分解にはE3ユビキチンリガーゼSCFSLY1が関わっており、DELLAはSCFSLY1に認識、ユビキチン化され、プロテアソームによって分解される。最近発見されたGA受容体GID1はGA依存的にDELLAのN末端部位と結合し、DELLAとSCFSLY1の相互作用を促進することが判明している。本研究ではGID1のGA依存的なDELLAタンパク質認識機構を構造レベルで解明するためにGA-GID1-DELLA複合体のX線結晶構造解析を行った。GA3およびGA4を用いた2種類のGA-GID1-DELLA複合体はそれぞれ1.8Åの分解能で決定され、両者の構造はほぼ同じであった。GA分子はGID1コアドメインにあるポケットに結合しており、GID1で高く保存されたN末端部位がGA結合ポケットを覆っていた。DELLAは保存されたDELLAおよびVHYNPモチーフがGID1との相互作用に関わっており、主にGID1のN末端部位と結合していた。この結果はGA受容によるGID1N末端部位の構造変化がGID1のDELLA認識に重要であることを示唆している。
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© 2009 日本植物生理学会
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