日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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オオムギアルミニウム活性型クエン酸トランスポーター遺伝子(HvAACT1)の発現調節機構に関する研究
*藤井 美帆山地 直樹佐藤 和広馬 建鋒
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p. 0273

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抄録
オオムギは根からクエン酸を分泌してアルミニウムを無毒化する機構を持っており、このクエン酸分泌に関与する遺伝子(HvAACT1)は最近我々によって同定された(Furukawa et al., 2007)。この遺伝子はアルミニウムによって発現が誘導されず、耐性品種は常に高発現をしており、HvAACT1タンパク質は根の表皮細胞に局在している。本研究ではHvAACT1の発現制御機構を明らかにするために、アルミニウム耐性の異なる品種を用いて3’-UTR及び5’-UTR の配列比較を行った。RACEを行った結果、3’-UTRにおいて品種間で配列の差が見られたが、アルミニウム耐性との関連が認められなかった。一方、5’-UTRを調べたところ、感受性品種はORFの上流約6kbpに転写開始点があり、3種類のスプライシングパターンを示した。耐性品種の場合、この転写開始点から始まるRNAは5種類のスプライシングパターンを持ち、これらの配列中には感受性品種に存在しない配列が含まれていた。耐性品種のゲノム解析により、この配列はORFの4.6kbp上流に挿入された約1kbpの特異的な配列に由来していることがわかった。また、耐性品種は特異配列上に複数の転写開始点が存在していた。これらの結果から特異配列がHvAACT1の耐性品種における高発現に関わっている可能性があり、現在プロモーター活性の測定などを行っている。
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© 2009 日本植物生理学会
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