抄録
NEPは色素体で機能する2つのヘテロ転写系の内のひとつでT7ファージ型RNAポリメラーゼである。シロイヌナズナは核にコードされたRPOTmp (RPOT;2)と RPOTp (RPOT;3) の2つのNEPをもっている。このうちRPOTmpはおそらく葉緑体とミトコンドリアの両方に局在することや、根の発達やrrn16のプロモーターの一つを活性化しているらしいことが示されている。しかしその機能の分子レベルでの詳細にはまだ不明な点が多い。我々はRPOTmpの直接的あるいは間接的機能として、tRNAやリボソームを含む翻訳装置の発現に着目している。本研究では、rpoTmp欠損変異株について (1) 核コード、色素体コード両方の色素体翻訳システム遺伝子のノザン解析やQPCR解析、(2) 精製葉緑体によるポリソーム解析、(3) 強光や葉緑体機能に影響する各種試薬に対するストレス応答、(4) 色素体DNA含量の定量、を行った。これらの結果から、RPOTmpnoの色素体翻訳システム発現への関与について議論する。