日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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根の水分屈性制御遺伝子MIZ1の光による発現制御
*森脇 哲平小林 啓恵宮沢 豊藤井 伸治高橋 秀幸
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p. 0318

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抄録
根は水分の多い方向に伸長する能力を有する。この現象は水分屈性と呼ばれ、植物の水獲得に寄与すると考えられる。その分子機構を解明するために、我々はシロイヌナズナの水分屈性欠損突然変異体miz を単離し、これまでにmiz1の変異原因遺伝子を同定した。miz1突然変異体の根は水分屈性の欠損だけでなく、光屈性の低下を示す。また、MIZ1 は機能未知のタンパク質をコードしており、その発現を制御する要因は不明である。そこで本研究では、MIZ1 の発現に対する水分勾配および光刺激の影響を明らかにするために、これらの刺激がMIZ1 の転写とタンパク質局在に及ぼす影響を解析した。明所芽生えの根において、MIZ1 の転写は根冠と維管束でみとめられた。一方、MIZ1タンパク質は、根冠、伸長領域の皮層および維管束にみられた。これらの発現パターンは、水分勾配刺激を与えても変化はしなかった。一方、黄化芽生えでは、根冠でのMIZ1 の発現がみられなかった。しかしながら、伸長領域の皮層でのMIZ1の局在に、黄化芽生えと明所芽生えで違いはなかった。MIZ1 の発現が根冠でのみ光によって制御されていたことから、根冠のMIZ1 は光依存的に発現制御されることが分かった。以上の結果は、これまで知られている重力屈性に加えて、光シグナルが水分屈性に干渉しており、その調節を根冠のMIZ1 が担うことが示唆された。
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© 2009 日本植物生理学会
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