日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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稲の防御反応の誘導に関わるホスホリパーゼD
*山口 武志黒田 昌治山川 博幹芦沢 武人平八重 一之栗本 玲王奈新屋 友規渋谷 直人
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p. 0343

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抄録
ホスホリパーゼD(PLD)は植物の防御応答やストレス応答などに重要な機能を有していることが知られている。稲の防御応答におけるPLDの生理機能を解析するために、PLD遺伝子のRNA干渉による遺伝子発現抑制系統を確立し、いもち病菌の感染に対する抵抗性の変化を解析した。その結果、OsPLDβ1OsPLDδ2の2つの抑制系統のいもち病菌感染に対する抵抗性が、大幅に増加することがわかった。OsPLDβ1抑制系統は病原菌感染の無い状態で過敏感反応を誘導する表現型を示すのに対して、OsPLDδ2抑制系統はWild typeと同様であった。抑制系統における発現遺伝子をDNA-microarrayでWild typeと比較解析した結果、PBZ1などの防御関連遺伝子はOsPLDβ1抑制系統では高発現していたが、OsPLDδ2抑制系統では高発現していなかった。一方、WRKYなどの防御関連転写因子遺伝子はOsPLDβ1OsPLDδ22つの抑制系統で高発現していた。これらの結果より、OsPLDβ1OsPLDδ2は部分的に異なったシグナル伝達経路に関与し、稲の防御反応の誘導を負に制御していることが示唆された。
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© 2009 日本植物生理学会
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