日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物病原細菌の鞭毛構成タンパク質フラジェリンのイネにおける受容機構解析
*田中 佑佳高井 亮太鈴木 英暁蔡 晃植
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p. 0344

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抄録
植物は病原細菌のフラジェリンを認識することにより免疫反応を誘導する。これまで、シロイヌナズナではフラジェリンのN末端部分のflg22に対する受容体としてFLS2が同定されている。しかし、単子葉植物のイネではフラジェリンの受容機構についてはほとんど明らかになっていない。イネにおけるフラジェリンの受容機構を明らかにするためにフラジェリンの様々なドメインを作製し免疫反応誘導活性を調べたところ、イネはフラジェリンのC末端領域を主に認識し、flg22はほとんど認識しないことが明らかになった。そこでまず、flg22に対する受容体の同定を試みたところ、FLS2のイネオルソログであるOsFLS2を同定した。OsFLS2をイネで過剰発現させるとflg22に対する認識能が増加し、シロイヌナズナのΔFLS2変異体に発現させるとflg22に対する認識能が回復した。次にフラジェリンのC末端領域の認識に関与する受容体同定のため、フラジェリン処理後に発現誘導される遺伝子を探索した。これらの遺伝子の中で、受容体となり得る候補遺伝子をΔFLS2シロイヌナズナに過剰発現させたところ、STR1STR2と名付けた遺伝子がフラジェリン認識能の欠損を相補することが明らかになった。そこで、両遺伝子の欠損イネにおけるフラジェリン認識能について調べたところ、両欠損株ともフラジェリン認識能が著しく低下していることが明らかとなった。
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© 2009 日本植物生理学会
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