日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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浮イネ遺伝子SnorkelおよびSnorkel2の単離とその機能解析
*永井 啓祐服部 洋子古川 静佳松本 隆呉 健忠北野 英巳芦苅 基行
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p. 0351

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抄録
通常の栽培イネは浅水で生育し深水状態では呼吸ができず枯死するのに対し、浮イネは水位の上昇に伴い節間伸長を行い、葉を水面上に出すことで呼吸を確保し深水状態でも生存できる。これまでに浮イネ性に関するQTL解析が行われた結果、第1、第3及び第12染色体に座乗する3つのQTLが検出され、このうち第12染色体QTLが最も強い効果を示すことが明らかになった。本研究はこの成果を基に第12染色体QTLについて解析した。ポジショナルクローニングにより候補領域を67.5kbに絞り込み、この領域に18個のORFを検出した。このうち、深水条件特異的に発現が上昇する2つの遺伝子を見出し、それぞれSnorkel1 (SK1)、Snorkel2 (SK2)と名づけた。これらの遺伝子は核移行シグナルおよびAP2/ERFドメインを保持したエチレンのシグナル伝達に関連する新規の転写因子と予想された。機能獲得性検定では、SK遺伝子を保持することで節間伸長が誘導された。さらに、過剰発現体を作出したところ、コントロールが節間伸長を示さないのに対し、過剰発現体は著しい節間数の増加と節間伸長が誘導された。これらの結果から、SK遺伝子は深水に対する節間伸長に重要な役割を果たしていると考えられた。また、浮イネ性を示したいくつかの野生イネはSK2を保持していることが明らかとなり、浮イネ性から見た進化・栽培化の過程を考察する。
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© 2009 日本植物生理学会
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