日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

酵素パパインによる効率的なChl a → Chl d変換
*岡田 尚紀大橋 俊介岩本 浩二白岩 善博宮下 英明小林 正美
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0393

詳細
抄録
我々はこれまで、光治療用色素として有用であるとの観点から、クロロフィルa(Chl a)の長鎖フィトールが外れた水溶性のクロロフィライド a(Chlide a)を得ようと試みてきた。しかし、強酸処理によって長鎖フィトールをエステル加水分解すると、中心金属Mgも外れたフェオフォーバイドaが生成してしまう。そこで、市販の酵素を作用させてChl aの長鎖フィトールのエステル結合のみを穏やかに加水分解することを試みた。酵素としてエステラーゼ(エステラーゼ、コレステロールエステラーゼ、フォスファターゼ)とプロテアーゼ(αキモトリプシン、スブチリシンカールスバーグ、パパイン)を用い、含水有機溶媒中、30℃、暗所にて48時間インキュベーションした。その結果、パパインを使用したときのみChlide aが生成し、また未知な色素の生成も確認された。HPLC、吸収スペクトルおよびFAB-mass分析から、未知の色素がChl dであることを明らかにした。反応温度30℃でのChlide aおよびChl dの収率はそれぞれ8%および2%であったが、反応温度を70℃に上げることにより、18%および4%に向上した。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top